小泉 拓也 Biologging Solutions株式会社
生物に様々なセンサを搭載した記録計(ロガー)を装着し、生物の行動をトラッキングする“バイオロギング”という技術がある。本チームは、これを測深に応用しつつ、従来の弱点であるデータ回収効率の悪さを解決する技術の開発を目指す。
エイやカレイなどの底生生物に、深度、水温・塩分・溶存酸素等の環境データ、加速度等を取得できるセンサを搭載したロガーを装着させる。これらのデータ回収のために通常は装着生物ごと捕獲を試みるが、本チームは、海中を自律航行する小型水中グライダーを使って生物に接近させ、音響通信を通じてロガーからデータのみ回収するモデルを考案した。ここで、大海原からグライダーが潜るべき位置を特定するのは困難だが、ロガーに付帯させるポップアップタグによって解決を目指す。ポップアップタグが自動的に切り離されて水面に浮上し、衛星通信を介して目的とする底生生物の位置を水中グライダーに知らせるのだ。さらに、海への廃棄物を減らすために、ロガーの自動切離システムで、水面に浮上させ、自律型洋上探査機(ASV)等を用いた回収へも挑戦する。また、海中で生活するウミガメなどの大型生物に、ロガーや小型の音響測深装置を装着してデータ取得するアプローチも盛り込んだ。このようにして、海洋生物という自らのエネルギーで移動するモバイルプラットフォームを利用した、世界初の測深技術の確立を目指している。